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SUPER BIG CAT Jacket, 10 oz Denim | 2022-08-19 |


SUPER PAYDAYのカバーオールを今回は「リプロ」しています。パターンは出来る限り忠実に。
カバーオールというと、ボタンやラベルの派手さに目が行きますが私が古着と現代の服で一番違うなと感じるのが形・フォルム、つまりパターンです。
前端が湾曲している。上に向かっては肩方向に倒れ、ボタン位置は一部しか打ち合わせが合っていない。無理やり全部ボタンを閉めれば胸当たりにシワが寄る。

SUPER BIG CAT Jacket, 10 oz Denim
元ネタはSuper PAYDAY のレイルロードジャケット。
オリジナルはボタン、ラベルなどに8オンス・サンフォライズドジュランク表記。
「PAYDAY」商標登録が1922 年。サンフォード・クルエットがサンフォライズド(防縮加工)関係の特許を取得したのが1930年代初頭。これらの前提から、1930 年代半ば~後半にかけての一枚ではないかと推測出来る一枚です。



台襟付きの襟。台襟は金具を使って縫います。この金具が以前作ったものは絶妙に細い。ちゃんと寸法指定して、生地も渡したのに・・・
金具をたたいたり、伸ばしたりして工夫しましたがどうしてもうまくいかず。結局、もう一度「この金具だと微妙に寸法が小さいから後1ミリ出して!」といった風にして新しい金具を作りました。
金具もさることながら縫ってくれた藤枝さんの腕も良い。右手に襟、左手に身頃で曲芸のように縫う部分なので難しいのです。かなり昔に、別工場のおばあちゃんに縫ってもらった時は、私が左手の代わりをして二人がかりで縫いました。懐かしい。

羽襟の襟回りは2本針ミシンで縫うので角に「チョウチョ」と俗に呼ぶ糸のワタリが出ます。このあたりはワークウェアならではの、生産性を考えて2回縫う所1回で縫おうとか、2回縫っておけば強度が出るだろうという工夫が結果としてデザインになっている部分。私がワークウェア見て縫製でムラムラ来るのがこのあたりです。

パトリオットカラーのラベル。カバーオールはやっぱりこういう「らしい」部品がつくと可愛いです。昔、古いカバーオール見るとなぜかブルーとレッド+ネーム本体の白系でデザインしたものが多い。しばらくして、デザインをしてる方から「パトリオットカラーですね」と教えてもらい、アメリカ国旗のあの色かと気付きました。

ラグランスリーブ



左胸のコンビネーションポケット。懐中時計+ペン差し。ぐるりと一筆書きで取り付けます。

そのあらかじめタテハギの一部があいて懐中時計が入るポケット。


右胸にフラップ付きポケット。裏にはその右胸ポケットの周りを覆うように内ポケット。


今回新たに作ったボタン。さすが昔のものは量があったのでしょう、専用デザインかつボタンの大きさも胸・袖口・台襟とフロントは微妙に2ミリほど違う!
やるなら全力!という事で作りました。金型と版下代で22万は痛かった・・・ですが、やっぱり作ってよかった。
悩んだのがオリジナルに入っている8ozの文言。どう見ても8オンス以上ある生地なのですが8オンス。資料を無くしてしまったので証明できないのですが、アメリカで昔、オンスの呼称が変わった事があったようなのです。それは生地屋さんが告知していた紙で、確か、平方ヤードが生地幅なりヤードに変わるとかそんな話だったのです。さらに、キバタ(生)の状態の生地を洗うだけで10%近く生地は重くというか、分厚くなります。なので「8オンス」と銘打っていても、それ以上に現代の規格では厚い・重いと感じるのはよくある事。
そこで、今回のシリーズは10オンス生地を使う。でもボタンに8と入れたい。悩みに悩んで8、8、8、自分に何か関係ある数字・・・そこでひらめきました。2022年8月についに我が家は8匹に猫が増えました。これだ!と一気にデザインしたのが上のボタンです。



デザインは同じでも一回り大きいフロントボタン。オリジナルは量を作っていた時代なのでしょう。機能的には別に他と同じ大きさでも良いのにフロントにはわざわざ大きいボタンをつける。ボタンが大きければより強く、頑丈に見える。人から目に付くボタンに自社のロゴやブランド名を入れたり。それも単に入れるのではなく人の目を引くようなデザインをする。アメリカが「広告大国」と呼ばれる理由がこのあたりにあります。それを見た我々は「かっこいいなぁ!」と感じるのですが、これも私のような40代以上だけでしょうか?果たして今の若い人にこの感覚があるのか?私はあると信じています。


これも古いカバーオールの独特な仕様。「ガントレットカフス」などと呼ぶ人もいますが、単純に「表見返しのカフス始末」です。通常、裏に生地を持って行く袖口見返しを表に。さらに、生地の方向も袖と変えることで、ヒッコリーは特にド派手な印象です。



背中にネーム付けの糸がそのまま見えるのもワークウェアらしさ。最後はネームがはがれてこのステッチだけが残っている古着を見ると、それもまたかっこよく感じます。
今期も登場カバーオールです!!!
毎回拘り要素が強いワーカーズ代名詞的なカバーオールは、Super PAYDAY のレイルロードジャケットが元ネタ~
毎度ながら古着を解体しトレース。
まんまではなく着易いようにリプロダクト。
そして肝心なのがやはりネコ(笑)
愛すべきネコ8匹を今期はオリジナルのボタンに(笑)
いやはや流石です!!!!
という遊び心を織り交ぜた本物の一着。
どうぞお楽しみを~~
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